2012. 2. 6
亀川 秀樹
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連載第7回 (2009/8/18 公開)
「素人さん」大阪では芸人さんがよく使うことばです。
「やめとけや、素人さん相手に変なこと言うなや」
「お前は素人かっ」なんてどこかで聞いたことがあるでしょう?
言い換えれば「自分たちは特別な能力があるのだから、一般人とは違うんだ」という表現です。
高ピーなような、それでもいいような。
役者の中にもこの表現を使う人がいます。
私は好きではないので、よく注意してしまいます。
「自分ら、演劇人やねんから、素人さんっていう言い方は止めといたら?」
と。
私たちには芸人さんのように、ある種の世界で培った能力を見せることが出来ないからです。
昔は「役者って何か出来るん?なんかやってぇや」と言われたものです。
本気にしてシャークスピアの台詞を言ったらドン引きでした。
だって、一般の人にはそれが何かわからないし、おまけにでかい声で急に
「生が、死が」
とか言われても引くに決まってます。
そういう時、「ああ、芸人さんっていいな。人を楽しませることがすぐに出来て」と感心してしまうのです。そして彼らには確かに自分たちを玄人と呼ぶ権利があると思ってしまいます。
厳密に言えば、役者にも人と違う能力を見せることができますが、芝居は稽古があって、共演者がいて、劇場空間で上演する中でこそ表現できるものなので、急なパフォーマンス向きではありません。
役者の芸なしと言いまして、役者は芝居以外には何もできないのです。
そうなのです。参加するのはまさしく「素人さん」たちです。
私はこのシリーズに何本か脚本を提供してきました。
演出をした時もあります。このワークショップに参加したメンバーがうちの劇団のオーディションを受けにきて劇団員になったという例もあります。
参加者は役者の卵というよりも、一回やってみたかった人や、昔役者になりたかった主婦、若い頃にちょっと芝居をやってた人、中には60歳になって仕事をリタイアしたから何か始めたい男性などなど様々です。
そんな素人さんが演出家に指導され、子供のように叱られながら稽古をし、舞台に立つ。なかなか感動的です。
中には10年ほど前から参加している古参のメンバーもいて、当時50歳だった彼女はすでに「おばあちゃん」みたいな感じでしたが、今では姿勢もよく、昔より若返った印象です。舞台に立つ、人に見られると人間も変わるようです。
今年は19世紀に実際にアメリカであった「トマト裁判」をモチーフにした「トマトの行方」というキュートな朗読劇を上演します。
芝居への一歩を踏み出した人たちの公演もなかなかいいものです。
お近くの方は是非覗きにいらしてください。
詳細はコスモスシアターのホームページまで。
お待ちしてます。

2009. 8. 18 (火)
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