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わかぎゑふの今月のイチオシ

連載第13回(2010/2/23 公開)【極める人】


みなさま、少々春めいてまいりましたね。


とはいうものの、やはり寒い日は寒い!
本当に温暖化なのか???と思ったりもします。
このコーナーも一年になりました。みなさんにはおおむね芝居の見方が分かっていただけたでしょうか?

さて、今月はかなりコアなものをお勧めします。
しかし、私にとってはこれはお勧め中のお勧めです。
大阪を拠点にした「劇団態変」というダンスと芝居、パフォーマンスを融合させた作品を作る劇団があります。
主催は金満里さんという女性です。名前からもお分かりのように韓国の方です。
そして、身体障害者です。
普段は車椅子で生活をされていて、歩くことはできません。でもダンサーなのです。
「態変」の出演者ほとんどが身体障害者ですが、ハンデを感じることはありません。
いつも、彼らにしか出来ない舞台を見せてくれるからです。

金さんは私にとって心の姉貴分です。大阪で演劇をするにあたって、心から尊敬できる女性の先輩が居ることは本当に心強いです。
この間、東京で渡辺えりさんと対談したのですが、東京の演劇界には、えりさんのような女性の先輩が多くいらっしゃるのですが、関西にはほとんどいないので、金さんの存在は私にとってはたいへん貴重です。

彼女は舞台に立つことで、自分の肉体から、国籍から自由になり、存在を昇華させてみせます。
その明確なパフォーマンスには圧倒されっぱなしです。
一緒にお酒を飲んだりするときは、ツッコミもいれますが。
(なんせ飲むとワガママなお姉さまなんで)

今までお勧めしてきた、台詞を主体とした芝居とはまったく違うコンテンポラリーな一作ですが、人間の表現力はどこまでも進化するものだと感じられます。
特に、今回は「劇団態変」ではなく、金満里 ソロ舞台です。
天にもぐり地にのぼる
3月5日(金)~3月7日(日)まで、場所はミナミのウィングフィールドという小さな劇場です。狭い空間だからこそ、金さんの魅力が存分に味わえると思います。 

金萬里 天にもぐり地にのぼる
(公演チラシ 写真:山本宗補)

芝居というものはエンターティメントだけではなく、
パフォーマンスも大きな要素だと知っていただければこんなに嬉しいことはありません。

どうぞ、足を運んでみてください!!!

連載第12回(2010/1/27 公開)【大阪の見もの】


みなさま、今年の年明けはどんな風にお過ごしでしたか?


私は3日から芝居の稽古、そのまま14日から本番というスケジュールでお正月ってなんや?という感じでした。

ある先輩がおっしゃいました。
人が休んでる時に働くのが演劇人だ」と。まったくそのとおりです。
うちの公演形態ですと、平日は19時開演が通常です。
皆さんがお仕事を終えられてから来ていただくわけですね。
もっというなら、お客様が多いのはやはり土曜、日曜。
一般の方が楽しめる時間こそが私たちの働き時です。

さてさて、2月というのは芝居が沈むといわれてます。俗に言う二八というのは
演劇界にもありまして、2月と8月は人が入らないと言われてきました。
8月は夏休みシーズンでまだいいのですが、2月はきついものがあるようです。
東京の下北沢などではそれを見越して2月に演劇祭を組んだりしてます。
最初は人が入らない月なので、借りても少ない。結局劇場経営も赤字になる。
借り手がないのならいっそ安くするから演劇祭って形で団結して乗り切りましょう。
という考え方だったようです。
今ではそれが功を奏して、名物の演劇祭になってます。ものは考えようですね。

大阪では、劇場が激減し、なかなか演劇祭なんかもできないのが実情です。
しかし、そんな状況の中で、2月にビックタッグが組まれます。
精華小劇場というミナミのど真ん中にある元小学校を改装した劇場の中で、
なんと、作・松田正隆、演出・松本雄吉のコンビで「イキシマ」という作品が上演されるのです。



これは関西の演劇界にとっては大事件なのです。
作の松田さんは岸田國士戯曲賞をはじめとして、
大きな演劇賞を幾つも受賞している関西演劇界の先駆的存在の劇作家さん。
演出の松本さんは私が日本で一番尊敬している維新派の代表です。
演劇賞も数々受賞なさってますが、美術家であり、劇作・演出をされ、その
独特の審美感が作り出す世界は現代演劇界の中でも特別な方だと思います。


冷え切っているとさえ言われている、関西演劇界にとって、
このタッグはすごい事件です。
是非、みなさまにも観ていただきたい一本です。
松本さんの世界観は少々前衛的ですが、圧倒的な美しさ、と独自の吸引力で、
その魅力に呑みこまれてしまうことは間違いありません。
うちの若い劇団員にみせても
なんかすごい維新派・・・なんかおもしろい」と言います。


たくさんのお芝居をお薦めしてきましたが、今回は私たち小劇場の極めつけの一本です。
どうぞ足を運んでみてくださいね。
観劇時は小学校跡なので少し寒いかもしれません。温かくして行ってくださいまし。

連載第11回(2009/12/22 公開)【お正月の芝居】



今年は寒いですね。いかがお過ごしですか


冬の芝居をオススメしたいと思います。と言いたいのですが、本当に不景気で芝居に行く人が極端に少なくなっている昨今ですねぇ。演劇人としては困ったものです。心配です。

昔は普段芝居を観ない人でも、冬には行ったものだといいます。
京都の寒い冬を締めたのはやはり南座の恒例顔見世だったし、12月にだけは、オペラやクラッシックのコンサートに行くという人も多かったですね。そして新年は華やかに新春興行をお洒落をして観に行くのが楽しみのひとつだったわけです。
私もお正月のためにわざわざお金を貯めて、文楽、歌舞伎、落語と古典に足を運んだものでした。
特に若いころは、友達と着物を着て集まる日を作ったりして...なんでしょう。
自分も着物を着て古典を観にいくと、行く前からその世界に入って行けるような、そんな気分になりました。
可愛いものでしたが、今も着物を着て芝居を観ると、ちょっと和風な自分にうきうきします。

とても芝居なんて予算とれない。とお思いでしょうが、たまには和風な気分に浸ってください。やはりここは日本人なんですから、日本人らしい冬を過ごしませんか?

さて、オススメはまず狂言です。お正月の1月1日~3日に大阪能楽堂で茂山狂言会の面々による恒例の天空狂言が上演されます。お正月から笑いたい人は行ってみてください!

天空狂言

歌舞伎だったら松竹座で2日から26日までやってます。
しかも仮名手本忠臣蔵の通し狂言。
こちらは上方の人気歌舞伎俳優がズラリと揃った豪華な公演。
お正月から観る冬芝居は格別な華やかさだと思われます。

文楽劇場では、これまた恒例の新春公演が3日からあります。
毎年、3日は新年の初日ということで、まき手ぬぐいを配ったり、10日には戎っさんということで、福娘さんがやってきて、笹を配ったりします。
イベント付きの公演もお正月ならではですよ。

私事ですが...うちのラックシステムの公演も14日~17日まで福島のABCホールで上演します。日本で最初に洋食を食べた人たちのお話から時代を経て現在までの、食文化のお話です。
詳細は劇団事務所「玉造小劇店」のホームページでご覧ください。
和風つながりで失礼します。お待ちしてます!!!

ラックシステム「お代わり」

連載第10回(2009/11/20 公開)【お楽しみ】


今は、大阪に住んでいても世界中のものが見聞きできる時代です。
それはそれで素晴らしいことですね。
昔は観たい芝居があったら東京や、海外に出かけていきましたが、
今は向こうからやってくるんですから。

ここだけの話ですが、私はミュージカルがあんまり好きではありません。(...でしたというべきかもしれませんが)
でも、実は通ってた劇団の養成所で勉強したのはミュージカルです。
主催者が風刺の利いたミュージカルを作る演出家だったので。
ですから、ダンスは死ぬほど稽古しましたよ。
ジャズダンスとクラシック...ああ、思い出しても頭がくらくらするほど稽古しました。
しかし、まぁ会話劇好きなので、けっきょくミュージカルの現場には自分では近づきませんでした。

別にお稽古したからミュージカル嫌いというわけではなく、
日本のミュージカルの翻訳のダサさとか、歌と歌詞のリズムの合わなさが気持ち悪くて敬遠してきたというのが本音です。

しかし、そんな事を言う人も多かったんでしょうか。
最近の翻訳はなかなかいいです。音楽性のある日本語を歌詞にすることが日本人も上手くなってきました。

そこで、みなさんに年末くらいはお洒落してミュージカルを観にいくというオススメをしてみます。
ミュージカルなんて分からないし、恥ずかしいという人でも楽しめそうな一本は四季劇場で上演中の「ウィキッド」です。

『ウィキッド』
撮影:上原タカシ TUX0672

オズの魔法使い」の裏話なんで、お話的にも入っていきやすいし、ニューヨークで上演された時のままのセットも復元されていて、なかなか見ものです。
しかも、主役の2人が歌唱力があって、聞き応え十分。
もっとオススメは最後列のC席でも全体を楽しめる構造になっているので、わざわざ高いチケットを買わなくてもいいミュージカルです。

年末なんで南座の歌舞伎をオススメしようかと思いましたが、せっかくだからたまには洋風のものもご覧ください。
今月見逃しても、冬中やってますんで。
きっとミュージカルを見直す一本になると思います。
私は東京で見たんですが、久しぶりに満足の行く内容でした。

素敵なクリスマスシーズンを演出するのも、自分自身です。
そう、人生は誰も演出してくれませんよ、自分でしないと!
がんばって下さい。

連載第9回(2009/10/21 公開)【関西圏内という範囲で】


10月22日まで、サンケイホールブリーゼという劇場で、赤井英和主演の「わが町」という芝居を演出して、友情出演してました。
織田作之助が書いた昔の大阪の超下町のお話でしたが、人情劇というのはいつの時代になっても通じるものですね。最後のシーンで泣いてる方も多く、しかも男性が多かったのは嬉しい限りでした。


さて、そんなこんなで、夏から秋まで芝居しっぱなしだったのですが、実は9月から、新神戸オリエンタル劇場のアドバイザーに就任しました。何をすればいいのか、まだ雲をつかむような感じですが、関西の劇場が少なくなっている今、劇団以外の居場所が増えるのはありがたいことです。


新神戸オリエンタル劇場
は大阪から特急に乗ったら40分~50分ほどで着きます。お洒落スポット 北野の一角にあるので、ご存知の方も多いでしょう。
ショッピングモールやホテルも一緒になっているので、お芝居を観にちょっと近隣の県に出かけるには最適です。
たまには神戸の町をゆっくりしながら食事と観劇。その後は素敵なバーでおしゃべりなんてデートコースにはぴったりかもしれません。
今月は観劇を絡めながら、半日旅行のお試しをお勧めします。


新神戸オリエンタル劇場
の11月のお勧めは、劇団 花組芝居の「ナイルの死神」というアガサ・クリスティの翻訳劇を歌舞伎っぽく演じるという試み。役者も全員男優で、かなり面白そうです。
それから14日からは関西でも人気があるキャラメルボックスの公演も控えています。

いずれも小劇場では老舗の劇団。安定しているので、はじめての方でも観ていて後悔するなんてことはありません。

泊りがけで旅に出るようなこともなかなか出来ない昨今、ご大層なことはせず、関西近隣で少し贅沢をするなら神戸はいかがでしょうか。お待ちしてます!

連載第8回(2009/9/17 公開)【大阪らしいもの】


残暑もようやく和らぎ、暑かった大阪もやっと朝夕は涼しくなってきました。
「まだ家の中は暑いで」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが...

さてさて、ですよ、。芸術のなんて昔から言いますが、 演劇界もそれに習ってか、やたら芝居の興行が多い時期でもあります。
そんな時は大きな劇場の芝居にお客を取られるから、小劇場は時期を外したらいいのに。と思っても、なんだか多いです。

そんな中、この10月に是非皆さんに観ていただきたい一本がサンケイホールブリーゼである「わが町」(10月3日~22日 サンケイホールブリーゼにて)織田作之助の原作で、今までにも何回か舞台化され、川島雄三監督が映画化もしている大阪の名作の中の一本です。

舞台となるのは明治末期から昭和にかけての天王寺区の辺り。
大阪の下町の中の下町というような貧乏長屋の一角。
車引きをやっている主人公、佐渡島他吉という男の半世紀です。

若い頃にフィリピンに渡った経験のある他吉は、
そのせいで女房と娘に苦労をかけるのですが、
一念発起、大阪で働き出します。
しかし、女房は貧乏生活が祟って死んでしまい、
男手ひとつで娘を育てる羽目に。
やがて美しく成長した娘、初枝は結婚するのだが...再び悲劇が...

ま、ここからは観ていただいてのお楽しみということで、ご勘弁願いますが。
ともかく古き大阪の男。堅意地で、不器用で、アホで...という主人公です。
この他吉を今回は赤井英和さんが演じます。
私はこの話を聞いたときに「ぴったりやん!」と声に出して言ってしまいました。
主役のキャラと主人公がこうもダブる舞台も本当に珍しいです。

実はこの芝居の演出を私がさせてもらってます。

なので、ここに書くと手前味噌な感じになってしまうかなと思ったのですが。
どう客観的に考えても、この舞台はオススメなので、堂々と書くことにしました。

赤井英和というかつてプロボクシングのチャンピオンだったという特異な経歴を持った役者だからこそ、今回の舞台は成り立っています。
そしてそれが大阪の話で、大阪のど真ん中で上演させるということ。
とても、観て欲しい一本です。

あ、私も友情出演で、一瞬だけ出演してます。ご愛嬌程度ですが、舞台が明けると演出は毎日関わらないのが普通ですが、今回は最後まで「わが町」に住み着きたかったので。

皆様のお越しを、劇場でお待ちしてます!

詳細はサンケイホールブリーゼのホームページまで。

連載第7回(2009/8/18 公開)【素人さん】



素人さん」大阪では芸人さんがよく使うことばです。

「やめとけや、素人さん相手に変なこと言うなや」
「お前は素人かっ」なんてどこかで聞いたことがあるでしょう?
言い換えれば「自分たちは特別な能力があるのだから、一般人とは違うんだ」という表現です。
高ピーなような、それでもいいような。

役者の中にもこの表現を使う人がいます。
私は好きではないので、よく注意してしまいます。

「自分ら、演劇人やねんから、素人さんっていう言い方は止めといたら?」

と。

私たちには芸人さんのように、ある種の世界で培った能力を見せることが出来ないからです。
昔は「役者って何か出来るん?なんかやってぇや」と言われたものです。
本気にしてシャークスピアの台詞を言ったらドン引きでした。
だって、一般の人にはそれが何かわからないし、おまけにでかい声で急に

生が、死が

とか言われても引くに決まってます。

そういう時、「ああ、芸人さんっていいな。人を楽しませることがすぐに出来て」と感心してしまうのです。そして彼らには確かに自分たちを玄人と呼ぶ権利があると思ってしまいます。

厳密に言えば、役者にも人と違う能力を見せることができますが、芝居は稽古があって、共演者がいて、劇場空間で上演する中でこそ表現できるものなので、急なパフォーマンス向きではありません。
役者の芸なしと言いまして、役者は芝居以外には何もできないのです。

ま、そんな裏事情はいいとして、
今回皆さんにオススメしたい舞台は9月23日に貝塚市にあるコスモスシアターである朗読劇です。
これはコスモスシアターが企画した一般の人をオーディションで集めて芝居をするという「芝居の一歩」というワークショップ公演のシリーズの一環です。

そうなのです。参加するのはまさしく「素人さん」たちです。

私はこのシリーズに何本か脚本を提供してきました。
演出をした時もあります。このワークショップに参加したメンバーがうちの劇団のオーディションを受けにきて劇団員になったという例もあります。
参加者は役者の卵というよりも、一回やってみたかった人や、昔役者になりたかった主婦、若い頃にちょっと芝居をやってた人、中には60歳になって仕事をリタイアしたから何か始めたい男性などなど様々です。
そんな素人さん演出家に指導され、子供のように叱られながら稽古をし、舞台に立つ。なかなか感動的です。
中には10年ほど前から参加している古参のメンバーもいて、当時50歳だった彼女はすでに「おばあちゃん」みたいな感じでしたが、今では姿勢もよく、昔より若返った印象です。舞台に立つ、人に見られると人間も変わるようです。

今年は19世紀に実際にアメリカであった「トマト裁判」をモチーフにした「トマトの行方」というキュートな朗読劇を上演します。
芝居への一歩を踏み出した人たちの公演もなかなかいいものです。
お近くの方は是非覗きにいらしてください。

詳細はコスモスシアターのホームページまで。
お待ちしてます。

連載第6回(2009/7/21 公開)【オススメの旅】



みなさま。暑い暑いですね。

地球温暖化っていつから言い出したんでしょうか。
確かに子どものころはもうちょっと涼しい国でした。
夏に「今日30度あるねんて」「へぇ」なんて言ってたのを思い出します。
当時は30度越える日がそんなに数なかったのでしょう。
それが今はもうすぐ「今日40度やってんて」と言い出しかねない
暑さです。どうなるんでしょうね、日本、地球...

そんな規模の大きい心配もありながら、今月のコラムです。

夏に芝居...いやぁこの暑いのに芝居を観に行くのか?と
言われてしまいそうですが。
演劇関係者は夏を「納涼公演」と題して、いろんなことをやってます。
昔は夏芝居といえば、怪談と相場が決まってました。
芝居を見てぞっとして涼しくなるという発想からきてました。
単純といえば、それまでですが、面白い発想です。

私は8月といえば、高校生くらいのころは東京へ芝居旅行をして
いました。お目当ての芝居を観に行くついでに、
東京で遊ぶという小旅行です。
大阪との観客層とは違った客席の雰囲気も、異国気分
楽しかったです。

そこで今月は「納涼」「怪談」「夏の旅」を頭の中で検索して、
芝居を観るための小旅行をオススメします。
まだ夏の予定を立ててない方がいたら、一度経験してみてください。
芝居を観るために旅を計画するのも見巧者な行為です。

癖になると、気になるミュージカルをニューヨークやロンドンに
観に行く
ようになったりもします。観劇を中心に旅の予定を組むのも
楽しいものですよ。

さて、東京ではちょうど、歌舞伎座八月納涼歌舞伎公演
あります。毎年、8月は夏休みもあるので、分かりやすくて
面白い作品が多く、三部制で時間も短めで観やすいです。

それから怪談ということで、渋谷Bunkamuraシアターコクーン
牡丹燈篭」を上演してます。

こっちは昔ながらの夏芝居を
劇団☆新感線のいのうえひでのり氏がどういう演出するかという
話題作です。

他にもいろいろありますが、興味が沸いてきた方は
ぴあなど情報誌のホームページへ行ってみてください。
ええいもういっそニューヨークだ!と思ってる人はシアターガイドという
演劇雑誌のページに行くと、便利ですよ。

他所で芝居を観ると、逆に大阪の芝居の特色などもよくわかるものです。
さぁ暑さにめげず、行動しましょうね!

連載第5回(2009/6/16 公開) 【赤毛物】


みなさま。ひと月ぶりです。
お元気でしたか?


 日本中、夏に近づいてます。大阪の蒸し暑い夏...ああ、来たなぁという感じ。
すっかり出かけるのが鬱陶しい感じです。
正直、こういう時期に「こんな素晴らしい芝居がありますよ!」と人に勧めるのは
大変勇気がいります。

 勧めたのはいいけど「暑い中、観に行ったら面白うなかったわ」なんて言われちゃったら責任重大ですから。7月には私も本番が控えてるので、自分のところの客足にも響きますし...。

 ま、そんなわけで、先月小劇場のコアなところまで行ったこともあり、今月はもう一度観劇の王道に戻りましょう。とりあえず、劇場がわかりやすいところにあり、エアコンが効いてて、トイレの数も多く、座席がゆったりしている劇場へ。

 ということで、2回目にご紹介した松竹座まで戻ります。

7月は蜷川演出の
十二夜
を上演してます。

 そうです。シェークスピアの喜劇を歌舞伎に仕立てたものです。主演の菊五郎、菊之助親子競演でも有名になりました。関西では初のお目見えなので、見たかったけど、東京にまではなかなかという方は必見です。

 私は前々からシェークスピアの多くの作品は歌舞伎や、和風のアレンジにして上演した方がしっくりくると思っています。中世ヨーロッパの設定は、日本の中世にも置き換えやすく、「ハムレット」のようなお世継ぎ問題や、「ロミオとジュリエット」みたいな敵同士の家に生まれたカップルの恋愛なんかも、小規模な領地の中で話が作れる中世の日本にぴったりだと思うからです。

 元々、明治時代にはそうして上演されていた記録がありますが、どこからか「赤毛物」が主流になりました。でもまぁ日本人が演じるんだから日本の設定で無理がないなら、その方が見やすい気がするんですがね。

 「赤毛物」というのは、日本人が翻訳劇や、外国の設定の芝居をやることです。和物に対してそういう名称が生まれたようで、今で言う「金髪芝居」みたいな呼び方だったんでしょうか。そんなことを言っていたら、ミュージカルなんてほとんど「赤毛物」なんで、今はあまり使われていません。

さて、暑さに負けず今月も芝居を観てください。

見たら元気になる芝居。
気分がゴージャスになる芝居。
身体が疲れやすいと、心も疲れます。
まずは気持ちに栄養を。ね。

p.s. ちょっと宣伝です。

私が作・演出している
お祝い

という芝居は、7月16日~20日まで、 福島の朝日放送内にあるABCホールでやってます!
昭和初期に生理用品を開発したある夫婦の物語。

笑って泣けます!

お時間があったら是非いらしてください。ね。

連載第4回(2009/5/18公開) 【食べたことのないものを食べてみる】


先月まで、まずは劇場へ行きましょう!
というキャンペーンを勝手に提案してきました。


どうです?行かれましたか?ああ、いいんです。いいんです。行かれてないのが普通です。前にも書いたように、日本人は劇場へ行く文化を一旦切らしてますから、用事もないのに劇場へ行く人なんて、いなくても当たり前です。

でも、ひょっとしてもう一度は劇場へ行ってみたなんて人がいるかもしれないので、今月はちょっとレベルを上げましょう

以前、大きな劇場へ行った場合は何も心配ありませんと書きました。劇場は都会の目立つ場所にあり、入ったらちゃんと飲食する場所があり、喫煙所も完備され、中にはエレベーターですべて上り下りできるようになっているというところもあるくらいのパラダイスです。しかし、小さな劇場はそういうわけにはいきません。まず場所が分かりません。芝居好きになると、それを探してまで行くのが楽しいんですがね。

今月、オススメする一本は
東京の劇団
花組芝居』の
大阪公演です。

どうです?書いてあること分かりますか?
花組芝居は加納幸和さんという演出家で役者、しかも女形を得意とする俳優さんです。『女形』はなにも歌舞伎の独占ではありません。今回はそれも覚えてください。
 加納氏は1987年に花組芝居を設立。男ばかりの役者で歌舞伎のパロディを上演するという試みから劇団を立ち上げました。ベースは歌舞伎ですが、公演の度に趣向を変え、小劇場らしい作品を提示してきました。

 「小劇場」というのは60年代くらいから発展したアングラ(アンダーグラウンドシアター)を基盤とした、独特の創作作品を作る劇団の総称です。一番有名になったのは劇団☆新感線でしょうかね。あそこまで行くと小劇場の枠にはもうはまりませんが、スピリッツは小劇場です。野田秀樹さんなんかもかつてはそうでした。徹底的にオリジナルを作るという精神が小劇場のこだわりです。

あ、私もこの小劇場の劇団の主宰者のひとりです。ひとつの言葉で括られているので、みんな同じような芝居を作るのかといえば、そうではありません。加納氏のように歌舞伎のパロディをやる人もいれば、私のように大阪弁の人情劇をやっているものもあります。

ちょっとマニアックな話になりましたが、そんなことで今月は花組芝居の大阪公演がオススメです。場所は旭区にある芸術創造館(大阪市の持っている数少ない稽古場&劇場です。大阪の人なら誰でも申し込めば利用できる施設です)
今回は「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」という歌舞伎を下敷きにした、花組らしい作品。期間は6月12日~14日(東京公演は6月3日~7日)です。詳細は「電脳版 花組通信」という花組芝居のホームページへ行ってみてください。

 さてさて、コアな場所、劇団、芝居...お試しになっていただけますかね。最後にお断りしておきますが、小劇場の芝居はあくまでもオリジナル。その劇団のいわば演劇的な提示であり、主張です。それを「こんな世界もあるのか」と受け取るか、「なにこれ?」と思うかは、皆さん次第です。文化を見聞することは自分自身への投資でもあるので、食べたことのないものを食べてみるつもりでいてください。(花組ファンの方が読んでらしたらすみません。小劇場を見たことがない方を前提として書いてますんで)

 それでは、今月はまず劇場を探すところから頑張ってくださいね!